先ず、大型船の燃料系の説明からしなければならない。
船舶用ディーゼル機関は通常、重油で運転されるが、冷えた状態では、非常にカタイため、先ず軽油でボイラーを運転し、約2時間掛かって、蒸気で重油を余熱し起動する。
このボイラーは、「小さな2階建て、建て売り住宅」程の大きさになる。
出入り口は、ヒト一人やっと通れるマンホールが有るだけである。
建造中の船舶には、数百人が出入りしており、人員管理は非常に困難である。
ある日、ボイラー内部の配管を施工していたはずの工員が行方不明になった。
失踪する理由も見つからない。
何処に行ったのか誰も見当が付かない。
ついに、船は船会社に引き渡され、出港していった。
数年後、定期検査のため、あるドックにその船は入っていた。
ボイラーメーカーの係員が、ボイラーの釜を開けて、中にはいると、
真っ白に焼けた人骨と、数本の工具がそこに有った。
海にまつわる怖い話・不思議な話3