森の中で、女の狂ったような声が聞こえてきた。
・・・ぁ――――――ぁぁぁぁぁ・・・
男は不安げに友人と顔を見合わした。
見れば友人は口を歪め、歯を食いしばりぶるぶる震えている。
気付くと、彼の頬もひくひく痙攣していた。
友人の両目がぐるんとひっくり返り、突然、絶叫した。
「きゃ―――――――――はははははははははは!!!!」
女の笑い声だった。
友人が笑いながら掴みかかってきた。
彼は意識が変容していくのを感じた。自分もなにか絶叫している気がする。
気づけば、彼は独り血塗れで倒れていたが、深い傷はなかった。
友人の行方は知れない。
山にまつわる怖い話9