夜山で見かけた女

親戚同士の集まりで、俺の叔父さんが「最近変なことが起こるんだよ」と困っていた。

どう困ってるのか話を聞くと、その叔父さんは運送会社をやっている。
会社といっても社員数人程度の小さな会社なので、社長である叔父さんも荷物の配達をしたりすることがあった。

その叔父さんが俺の地元の県の田舎の方に配達に行った時、目的地の町に行く途中、夜の山道で女が一人道路を歩いている。
叔父さんは一体どうしたんだろうと思ってワゴンを止めると、女に「お姉ちゃんこんなとこでどうした、乗っけてやろうか?」と言った。

女は頷くと叔父さんの車に乗った。
叔父さんは「あんなところで一人で歩いてどうした、家はどこだ?」 と聞くが、女は「家に帰りたい」としか言わない。

しょうがないので、叔父さんはとりあえず町に着いたら警察にでも引き渡そうと思った。
町に着く少し前の辺りで女が急に「止めて」と言いだしたので、叔父さんは車を止めた。
女が急に車から降りたので、叔父さんも後を追って車を降りた。

女は町に向かって歩きながら、「帰りたい、帰りたい」と呟き続けている。
その女の尋常で無い様子に叔父さんは怖くなって、女を置いて車で逃げた。

それで叔父さんは一体なにが困っているのか、というとその女が最近夢に出てきたり、気のせいかもしれないが車のバックミラーに写ったりするという。
俺の父親が「お前その女に取り憑かれてるんじゃないのか?お払いでもして来い。」と冗談を言って、叔父さんも笑っていた。

2ヶ月くらいたって叔父さんがその町の方にまた配達に行ってから帰ってこなくなった。
未だに行方不明。親戚の間ではその話はタブーになった。

実話恐怖体験談!21(実質14)

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コメント

  1. S より:

    巻き添えで配達されなかった荷物…。
    親切心が仇になって連れて行かれる結末は悲しいですね。