中古の冷蔵庫

これは2010年に事情により閉鎖した、ある怪奇ブログでの取材による証言記録の一部である。
ブログ主の遺言に従い、このスレに投稿する。
親友の死を悼み心から冥福を祈る。

取材日2010年9月5日 「情報提供者の証言」

俺の友達に廃品回収の仕事をしてた奴がいるんだが、たまにいわくつきのヤバイ物が来たりするらしい。
その中でも一番ヤバかったのが…
ある観音開きの大きな冷蔵庫だったそうだ。

ある時若い夫婦から冷蔵庫を引き取る仕事が来たんだが回収作業中に後輩が怪我をした。
その時その場に居た同僚が、かなり厄介な物を引き受けてしまったと言っていたらしい。
真新しい冷蔵庫が会社に到着すると社長は嬉しそうに、これは廃棄せずにリサイクルショップに流そうとした。

そのとき同僚が尋常では無いほど激しく反対し廃棄を勧めたが、突然呼吸困難で倒れて救急車で運ばれた。
後日わかったんだが、同僚の気管に長い女の髪の毛が詰まっていたそうだ。

それから次の日、友達は残業で職場に残って仕事の整理をしていると、倉庫の方で話し声が聞こえてきた。
行ってみると社長がわずかに開いた冷蔵庫の扉の隙間に向かって誰かと喋っているんだ…
「あ…そうなんだ…へぇ~ うんうん、強く閉じて?はははは」
って感じで、友達はだんだんとあの冷蔵庫が薄気味悪くなって逃げるように帰った。

ところが真夜中に、いきなり社長から電話がかかってきて震えた声で…

「やっぱり、あの冷蔵庫はおかしい…捨てに行くから、今すぐ来てくれ…くれ…くれくれ…くれくれくれ…くれくれくれくれくれくれくれくれくれくれくぁwせdrftgyふじこlp(表現不能)」

 プツンッ プーッ…プーッ…プーッ…

と電話が切れたんだ…だけど会社に行くと冷蔵庫も社長も消えていて何処に行ったかわからず、そのまま失踪して一ヵ月後に山中で遺体がみつかったそうだ。

取材日2010年9月26日 「冷蔵庫の元所有者の証言」

ネットオークションで観音開きの大きな中古の冷蔵庫を格安で落札したんです。
冷蔵庫が到着した日、嫁がすごく訝しげに冷蔵庫を見ていて、少しムッとしたけど、その日の夜中に喉の渇きで目が覚めて台所に行ったら…冷蔵庫の扉をわずかに開け、その隙間に頭を突っ込んで立っている変な女がいました。

余りにも唐突すぎて、なんと声をかけていいのかわからなくて「あの…」と言った瞬間、女の手足が気味悪く痙攣してバタバタバタバタ!って…、冷蔵庫に首を突っ込んだままで激しく暴れ出したんです。
もうパニックになりながら嫁を呼びに行き戻ったら、冷蔵庫はしっかり閉じていて誰も居ませんでした。

(省略)

気持ち悪くなって後日即行で回収業者に依頼して冷蔵庫を運び出そうと持ち上げたら、その下の床に真っ黒い血溜まりみたいのが出来ていて…
そうしたら嫁が気味の悪い事を口走るんですよ。

「これ絶対に殺されて入れられてたよね…」

その言葉に反応したみたいに突然冷蔵庫の内側からバタバタッて叩く音がして、驚いた業者の人が冷蔵庫の下敷きになり怪我をして大変でした。

取材日2010年10月17日 「第一発見者の証言」

国道○○号線旧道の、○○市と○○郡○○村の境あたりを車で走っていたら小便したくなって路肩にとめて、道路の脇で立ちションしてたんだ。
周りをみたら道路沿いは急な傾斜になった森で、そこは粗大ゴミが大量に不法投棄されているような寂しい場所だったんだよね。

そのとき…
「ガチャ…バタン!ガチャ…バタン!」
と音が聞こえて来て、何だ?と思ってみてみると草が生い茂った木々の中にポツンと男がいて、木に立てかけられ捨てらている冷蔵庫の扉を何度も開いたり閉じたりしているんだ。

(省略)

なんか気味が悪いなと思って、さっさと車に乗ってその場から立ち去ったんだけど、その日以来から毎晩、逆さになった男の生首が夢に出るようになってさ、人を殺して冷蔵庫に入れて遺棄する事件とか、よくあるし、その冷蔵庫が気になり出したんだよね。

そこで友人を連れてまたその場所に行ったんだよ。
斜面を下って冷蔵庫のそばに行くとやっぱり、すごい異臭がするんだ。

覚悟を決めて冷蔵庫を開くと…中には何も無くてさ。
でも冷蔵庫の扉の裏に「ツヨクトジテ」と書かれた付箋がびっしりと貼られていて…。
もう馬鹿にするなとヤケ糞でバタンッ!と強く閉じたんだよ。

その瞬間、ドサッ!!! …頭上から腐った首のない死体が冷蔵庫の上に落ちてきたんだ。

もう俺と友人は絶叫状態だった。どうやら冷蔵庫を立てかけていた木に男の首吊り死体がさがっていたらしく。
冷蔵庫の扉を閉めた震動と、その死体の体重が腐敗に耐えきれず首からチョン切れて胴体が落ちてきたんだ。
しかも頭だけがロープに残って逆さに揺れていて…
それが夢でみた生首と同じだったんだよね。

死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?303

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