救助願い

関東にあるIという峠に避難小屋がある。

一昨年の秋口に一人で近くの山にいったのだが途中でこけて膝を捻挫してしまい、日帰りの予定がやむなくそこに一泊するハメになってしまった。
新聞紙を下に敷いてジャケットをかぶり、コンビニでかったJack Daniel’sをあおってそのまま寝てしまった。

夜中に「ドンドン!」扉を叩く音がする、甲高い男の声で「H岳で仲間が滑落しました!手伝ってください!!」といっている・・・いや、言った気がした。
寝ぼけて酔っていてよくわからなかった分からなかったので、シカトしていたらなにも言わない「気のせいだ」と勝手に結論づけて寝た。

翌朝、腫れも我慢できる程度になったので小屋を後にしようとした。
ふと入り口をみると小屋のノートがぶら下がっている。
1時間ほどぱらぱら読んでみたら、つぎのような記載があった。

 「××年×月×日 (前文略)深夜2時、遭難者の救助にH岳に向かうことにする」

この日の日記はこれでとぎれている。
この記事を書いた人はどうなったのだろうか?
深く考えると怖いので、そのまま下山することにした。

山にまつわる怖い話12

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