くだん

知り合いの話。

学生の頃、友人にバーベキューに誘われた。

友人の家は酪農家で、町外れの山で小さな牧場を経営していた。
楽しく飲み食いしていると、敷地の片隅に変わった牛舎があるのに気がついた。
建物自体は普通だったが、入口が牢屋のように格子状になっていた。
どんな牛をいれるんですかと尋ねると、友人の親父さんが教えてくれた。

あれは牛を入れていたんじゃない、くだんを入れていたんだ。

くだんというのは人間の顔に牛の身体を持つ化け物で、予知能力を持つという。
先の大戦中に生まれたそうで、当時では色々とまずかったことを予言していたらしい。
親父さんはこの話を、しごく平然と語っていたそうだ。

山にまつわる怖い話4

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