足音の主 2019/4/25 雷鳥一号 知り合いの話。 雑木林の中の獣道を歩いている時のことだ。 下の沢の方から、何か重いものが斜面を駆け上ってくる音がした。 すわ猪かと手近の木に登った直後に、足音の主が現れた。 茶色の羽根を持つ、大人の背丈ほどもある鶏だった。 気が立っていたのか、あたりの木を手当たり次第に蹴りまくっていた。 やがて鳥とは思えない不気味な唸り声を上げ、上の尾根の方に走り去ったという。 彼のつかまっている木も傷だらけになっていた。 しばらくは木から下りられなかったそうだ。 山にまつわる怖い話4