小学五年の時に年の一回り離れた姉が出産をした。
当時はデジカメなどなく写真を写すときは決まってインスタントカメラ。
生まれたばかりの甥を抱っこして何枚も何枚も写真を撮ってはカメラ屋に現像に出し、撮った写真が出来上がるのを楽しみにしていたのを今でも覚えてる。
その時も出来上がったばかりの写真を楽しく見ていたのだが、ふと、部屋で写した一枚の写真がなんだかおかしい事に気づいた。
手前に私と甥…そして奥の暗い方にあと一人写っている。
目を凝らしてよく見てみると長い髪の気味の悪い女性だった。
当時、我が家には髪の長い女性はいなかったし、お客としてもこんなに髪の長い人はいなかったはず。
当時からオカルト的な事に興味があった私は心霊写真じゃないかと半ば心震わせていた。
だが日に日に見る度その髪の長い女性の表情が変わっていく事に気づいた。
どう説明したらいいのかわからないが明らかに違う。
悲しむ表情や怒りの表情、ちょっと笑ってる?表情…その時の自分の感情に伴っているのかもしれないが昨日とはまったく違う。
さすがに気味が悪くなり両親もこの写真はお祓いしようと決めお寺に持って行った。
私が最後に見たその女性の表情は…口を大きく開け、目を見開き何か驚いてるような苦しんでるような目を背けたくなるような本当に奇妙な表情だった。
あれから十数年経ち、あの写真の事もすっかり忘れていたのだが、ついこの前、ふと思い出した。
夜中、飲み会から帰ってきた私が歯を磨こうと洗面所へ向かい歯ブラシを取ろうと手を伸ばした瞬間、小さな蜘蛛がふと私の手に乗ってきた。
虫が嫌いな私は驚き、キャッと手を振り払った。
蜘蛛は逃げていったが、鏡に映った自分の固まった表情にまた驚いた。
口を大きく開け、目を見開き…まるであの写真の女性のようだったから。
あの写真が私に何を伝えたかったのかは今となってはもうわからない。
だけど、もし私が何か事故にあうとすれば…もしかすると最後はあんな表情になるかもしれない。
とにかく最近になって余計に事故には気をつけようと思う。
ちなみに今の私の髪の長さは…あの写真に写っていた女性と同じくらいだと思う(エクステのため)
死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?280