おとといの話
山のすそまですぐ住宅街、という町に暮らしています。
その山の本当にすそのあたりにアパートを借りていて、普段は水のあまり無い川が山との間に流れている、という土地です。
爽健美茶がきれたので、徒歩5分ぐらいのコンビ二まで行こうと家を出たところ、川原からかんかんかんという音が聞こえました。
またどっかの学生でも騒いでるのかな、と思ってそちらに眼を向けずに川べりを歩いていると、かんかんかんという音がだんだんと近づいてきました。
石を金属で打つような印象の音なので、絡まれたらめんどくさいと足を速めました。
まだ着いてきます。
振り向いて、学生どもと目が合っても絡まれそうなので、走ることにしました。
それでもかんかんかんと音がついてくるようです。きもちわるい。
とくに気味が悪いのは、どれだけ足早にしても、かんかんかんという音の速さは変わらないことです。
でも確かに音は小さくならないし、近づいてきているという感触を受けました。
川から離れようと、住宅街のほうへ入って、ちらりと後ろを振り返りました。
かんかんかんという音が川をはさんだ山のほうへと消えていくのがはっきりとわかりました。
そして走ってコンビニまで向かい、爽健美茶の2リットルペットボトルを二本抱えて、そういえば帰りもその道を通らないといけないことに気づいて死にたくなりました。
そうはいっても帰らないわけにはいかないので、猛ダッシュで川ベりを抜けようと走って川沿いまで来ました。
すると、山のほうからかんかんかんという音が下ってくるのが明確に聞こえました。もうだめ。
その日は川から離れた友人の家にとめてもらいました。しばらく夜は外出できません。
山にまつわる怖い話20