アメリカで山岳ガイドに聞いた話。
森林の奥深くに、手掘りの古い鉱坑がいくつも残っている地方があるのだという。
誰が何を掘っていたのかはわからない。
白人最初の入植者が来た時には、もう既に廃坑になっていたからだ。
インディアンたちも、掘っていた者のことはまったく知らないという。
地元では、金を掘っていたんだろうと言い伝えられている。
しかし坑道の中を確かめに行く者は一人もいない。
新月の夜になると、いまだに鑿で岩を削る音が聞こえてくるからだ。
まるで見つけられなかった何かを探すようで、鬼気迫るものがあるらしい。
彼も耳にしたことがあるらしいが、努めて無視をしたそうだ。
山にまつわる怖い話6