大っきな翼

知り合いの話。

彼の娘さんがまだ幼い頃、山で迷子になったのだという。
必死に捜したが見つからず、捜索願いを出すために警察に向かった。
警察で失踪状況を説明していると、彼の家から電話がかかって来た。

娘さんが庭で、ぽかんと空を見上げていたというのだ。

車で一時間はかかる山の中から、どうやって先に家に帰ったのかと娘に聞くと、たどたどしく「大っきな翼に送ってもらった」と答えた。
娘の手には、黒く美しい大きな羽根が握られていた。
成長した現在でも、彼女はその羽根を大切にお守りにしているそうだ。

山にまつわる怖い話7

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