カライセン

隣の家のじーさんに聞いた話なんだが。

なんでも、その爺さんがイケメンだったという頃に住んでた町の近くの山に、小さい村があったらしい。
小さいって言っても、診療所なんかはあったらしいんで、数十人しか住んでないって訳じゃなかったみたいだけど。
それで、その村で神童って評判だった男の子が突然居なくなったらしい。
そりゃもう大騒ぎになって、山狩りもしたそうだ。

結局見つからなくて、その日は全員が帰ったらしく、次の日、その男の子の両親の家に村人が集まった。
それで、その子の両親が、手紙が戸に挟まってたと言う。
手紙には男の子を誘拐した事が簡潔に書いてあったらしい。
爺さんは直接見たわけじゃないからよく知らないらしいが、カライセン?という物を寄越せと手紙に書いてあったらしい。

勿論、当時はネットなんか無かった。
カラーテレビですら滅多に無かった時代。カライセンを調べても分からない。
仕方なくその子の両親は家にあった金目の物をありったけ集めて、他の家にも金を無心したらしい。
最終的に、具体的な額は分からんらしいが、五年はつつましく暮らせる額が集まったらしい。

それで、金を持って指定された引渡し場所、炭焼き小屋の近くに行ったそうだ。
炭焼き小屋には、スーツ姿の男が居たらしく、兎に角とんでもない美男子だったそうだ。
その美男子は、カライセンは持って来たか?と聞き、カライセンという物は分からないが、金を集めてきたと言って、金を渡したらしい。

それにスーツ姿の男は激怒。
何処かの方言のような言葉で怒鳴り散らし、話が違うだの、楽しみにしていたのにと喚いたらしい。

その美男子は一通りぶち切れた後に、そっちが渡さないならもういいと言って、近くに居た男の子の両親を引き摺ってどこかに行ったらしい。
付き添っていた村の若い男達が美男子を止めようとしたらしいが、物凄い力で敵わなかったそうだ。

結局、男の子も男の子両親も戻って来なかったらしく、山からは数日ほど悲鳴が聞こえたそうだが、三人の居場所は分からなかったそうだ。

更に、それから数日ごとに村の人間が居なくなっていった。
男も女も区別無く居なくなり、体のパーツが転がっている事があったり、服がなくなっていたり。
警察だのにも応援を呼んだらしいが、取り合って貰えなかったそうだ。
数十人がいなくなったと言っても。

流石にねーよと思ったが、爺さんが随分真剣なので、最後まで聞くことにした。
それから、必死で逃げ出してきた数人の村人がその話を町の人間に伝えたらしい。
今ではその村は廃村になってるらしいが、その男と出合ったという人がたまに居るらしい。

終わり。

結局カライセンってなんなんだ?

死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?253

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