エンコウ

山と言っても里山の話だけど。

じいちゃんが子供の当時、じいちゃんのばあちゃんの家(判りにくくてすんません)に遊びに行った時のこと。
便宜的にじいちゃんのばあちゃんを大ばあちゃんとしとく。

家は他の集落から少し離れた里山の中腹にあったそう。
漫画日本昔話の山の中の家を思い出してもらえると判り易いかと。

その夜、大ばあちゃんの家に泊まったじいちゃん。
いつもと違う家だからかなかなか寝付けず、真夜中ウトウトした時それは聞こえたらしい。

木戸をキシキシと引っかくような音がする。
最初は、風か、はたまた猫か狸かと思ったらしい。
その日はそのまま寝入ってしまったが、次の日も同じように木戸をカリカリやっている音が聞こえる。

気になるし便所にも行きたいし、と意を決して木戸を見に行ったらしい。
障子を開け、縁側から木戸を伺うと、頭だけが大きくて体のひょろ長い、形容し難いものが立って木戸をガリガリやってたらしい。
(ちなみにじいちゃんに思い出して描いてもらった絵はETのようだった)

得体の知れないものと状況の異常さにじいちゃんは便所にも行かず、部屋に戻って朝まで震えてたらしい。結局おねしょした、と笑いながら言ってた。
朝が来て、家人にそのことを話すと、それは「エンコウ」だろうと言う。
家人が鋤と鍬を木戸に立てかけるように置くと、その晩から音はしなくなったと言っていた。

余談だけど、大ばあちゃんの家は「そっち系」に強い家だったらしく、その辺鄙で不思議な立地に家を建ててたのも、集落を外界からさえぎるためだったとかなんとか。

山にまつわる怖い話28

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