一面のカエル

数年前に群馬の山奥のキャンプ場に行ったときの体験

その日にキャンプをしようと言ったのは俺。
以前にも行ったことのある場所で湖が非常に綺麗なお気に入りのキャンプ場だった。
「まださむくね?」と友人は言ったが、シーズン中だと家族連れとかで混むのが嫌で6月の山開き当日に行って来たんだ。

前日の夜に出発して早朝に到着してちょっと仮眠してから受付をすまして、サイトにテントを張って遊んでた。
山肌にはまだ雪が残っててちょっと肌寒いけど焚き火用の薪を受付で購入して、自分達のテントに運んだりして力仕事みたいな事をしていたので寒さは気にならなかった。

そん時に山開きの祈祷みたいなのを神主さんとかが来てやってるのを横目に釣りしてた。
まだ水道が開通していないからと雪解け水でごはん炊いたり調理用水に使ったり、また湖の水も綺麗なので水道が使えなくても気にならず、むしろそのほうがキャンプらしいので喜んで楽しんでた。

で1日存分に楽しんで夜、晩御飯を作って喰ったあとに定番の焚き火で酒を飲み始めた。
時刻は10時頃で早朝から遊んでたのと体を結構使ったので、皆だんだんと眠くなってきた。
山開き当日だったから釣り人は他の人間もいたが、テントを張っての泊まり組は俺達3人だけだった。

他にだれも居ないキャンプ場なので気兼ねなく酒飲んで騒いで、そろそろ寝ようと3人ともテントに入りそれぞれが寝袋に収まった。

もう12時をまわってた頃、そんで寝付く前に会話をしているとテントに外から何かがボンボンとテントを押してくる。

「なんだよ?誰か見にいかね?」
「眠いからいいよ・・・」
「蛙の鳴き声すごくね?」
「さっき外に居たときこんなに聞こえてたっけ?」
「酒飲んで焚き火が爆ぜる音とかしてたから気付かなかったんじゃねえの?」
「いやもしかしてボンボン当たってくんの蛙?」
「え?だってすごい囲まれてるてこと?」 
「誰かちょっと確認して来いよ・・・」 
「わかった。見てくるから懐中電灯貸して・・・」 

ジーっとテントのチャックを明けて俺が外にでてみたんだ。

「うわっ!!」

俺の叫び声で残りの2人も寝袋から出てきた。

「どした?」
「うおっ!!」

俺達が見たのはキャンプ場の全てを覆い尽くす程の蛙、蛙、蛙。
大量の蛙(詳しくないので種類は不明)

啓蟄なのかそこらじゅうの土の中から蛙が出てきて、おそらく数千匹はいたと思う。
わかんないのは何故そんな夜中に大量の蛙が土中から一斉に出てきたのかということ。

山開きと関係あるのかと皆で相談したが、鳴き声がうるさい点以外特に害も無さそうなのと眠いのとでその後は普通に寝た。

翌日受付のおっちゃんに聞いてみたら、毎年このシーズンだからとか関係なく山開きの祈祷をすると蛙が出てくるといった微妙なオカルトを聞かされた。

でももっと怖い幽霊話のほうが皆喜ぶといっていたが、ビタいち霊感無しーズだった俺らはたぶん幽霊いてもシカトしちゃうだろうよ、と笑いながら話してくれたおっちゃんに礼を言ってキャンプ場を後にした。

山にまつわる怖い話28

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