裏の禿山

遠い昔 はるか彼方の山奥で

ある年の大晦日。

初日の出が見たいと孫にせがまれた爺さんは
「裏の禿山に登れば見れるじゃろ あそこは何故か木が一本も生えちょらんから」
と言い聞かせて床に就いたそうだ。

日の出前に起き出した爺さんは孫を起こすと 早速裏の禿山に向かおうと歩を進めたが、山の様子が変わっていることに気付いた。

禿山が木で埋まっている。 
目を丸くしている孫と顔を合わせもう一度目を向けると元の禿山に戻っていたそうだ。

「ひょっとしたら 初日を拝みに周りの木々が集まる山だったのかも知れん」
年老いた孫は自分の孫に そう言って懐かしそうに笑ったそうな。

山にまつわる怖い話29

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