小学生の頃の夏休みの体験。
その夜は両親が何かの用事でいなくって、一人でぼーっとテレビを見てた。
そんで、9時過ぎくらいだったか、友達から電話があって、肝試しに誘われた。
舞台は学校。七不思議だかなんだかを暴こうぜ、みたいなかんじで、リアル消防の俺はノリノリで行くことにした。
んで、学校に着いて、電話くれたそいつと後もう二人と俺の四人でいざ学校内へ。(夜でも窓が開いてた当時の我が母校……)
まあ最初は保健室や音楽室にいってバカなことしてたんだけど、(友「くらえ!アンパンチ!」人体模型【声:俺】「あべし!こいつは内蔵まで届くぜ!ハアハア」)ラストの屋上につながる階段で急に空気が変わった。
べつに気温が下がった訳じゃない。
風が吹いてきたわけでもないしクーラーなんてのもない。
でも急に寒気がした。ついでに鳥肌も立った。
その階段ていうのも、ありきたりに『12段しかない階段が夜中だけ13段になってる』みたいなやつで、ラストにしたのもただ単に最上階まで行くのがめんどいってだけだった。
でも寒い。
何か急に恐怖心が降りてきた。
そして、誰が言うまでもなく四人が横一列になって階段を昇り始めた。俺は一番右端だった。
まず一段目に足をかける。
「い~ち、に~い」
全員で声を合わせて数える。
「きゅ~う、じゅ~う」
最後の一段。
「じゅうに!」
みんなの足が同時に止まった。
もう目の前に階段はない。思わずため息が出た。
そして、
「じゅうさん」
急にみんなの顔がきょとんとした。誰も声を出してない。足も動いてない。
聞いたことのない声だった。
はじけるように逃げ帰った。
ちなみに、俺にはその声は俺のすぐ右から聞こえた。
不可解な体験、謎な話~enigma~ 28