先輩の話。
彼の故郷の山には、ツクシオニなる物の怪が出たという。
春先に土筆(ツクシ)狩りをしていると、中にどうしても抜けない土筆がある。
子供らしく意地になって引っ張り続けると、根元の地中からヌッと真黒い腕が突き出されてきて、子供を地の底に引きずり込むのだと。
「実際、土筆を取ったり土遊びをしちゃいけないって坂道があったよ。まぁ言い伝えの類いなんだろうけど。何かしら教訓や戒めでもあったのかな」
今でもその場所には、春になると多くの土筆が顔を出しているそうだ。
山にまつわる怖い話25