友人の話。
晩秋の山道を一人歩いていると、おかしな物が現れたのだという。
森の中、薄暗い道の上に、黒い球体が浮かんでいた。
ビーチボールほどの大きさで、胸の高さをふわふわ漂っている。
近よってみると、それは様々な枯れ葉が寄せ集まったものだった。
茶色や灰色の葉が付かず離れず、ざっくりと大きな玉を構成している。
何だこれは? 思わず指で突付いてみる。
途端に何かが弾けたような感覚がして、辺り一面に朽葉が撒き散らされた。
彼の身体も、枯れ葉塗れになったという。
既に道上には、妖しい物は何も残されていなかった。
関係があるのかないのかわからないが、それからしばらくの間、彼は体調を崩してしまったそうだ。
山にまつわる怖い話26