同級生の話。
彼は学生時代にフィールドワークをしていた山里で、何度か奇妙な体験をしたのだという。
ある冬の朝、里外れの田中で、雀が大量に死んでいた。
白い雪の上に茶の点が撒き散らされたかのようで、あまりの数に初めは雀だとわからなかったそうだ。
研究に関わりでもあるかと調べていると、何かが死骸に突き刺さっていることに気が付いた。茶色で尖った物が一本。赤錆びた布団針だった。
彼が手に取った雀の死骸は、すべてが背から腹まで針で貫かれていた。
結局、性質の悪い悪戯ということで処理されたらしい。
悪戯にしろそうでないにしろ、まこと気味が悪かったよ。
彼はそう言っていた。
山にまつわる怖い話26