妖精さん

妖精を見た・・・気がする。
大学行くときに電車を待っていて、ホームの椅子に座っていたらexerciseみたいな動きをする子供(小学生位)が突然俺の前に現れた。

何時視界に入ったかわからないが、チョコマカと手やら足やら一生懸命動かしてる。
電車と人が接触しないようにするための黄色い線があって、その子供は明らかに線を越えてホームの端ギリギリのラインでテンヤワンヤしていた。
駅員さんも近くにいたけど注意する様子も無く、とうとう電車が来てしまった。

子供は夢中で踊って(?)いた。
子供の手が電車に接触した。
ボーっと見る事しか出来なかった。
そして、飲んでいたCoffeeを吹いた。

電車の外装から手が抜け出してきたり、めり込んだりしてたからだ。
所謂、人間が立体映像に指で触れようとする、これの逆バージョン。
ここで初めてその子供は人間では無いという考えが生まれた。
これが妖精さんなんだろうか?
その次の電車は俺が乗らないといけない電車なので、ちょっと興味本位で子供の近くに近づいてみた。

頭の中で「どんな子だろう」と、思いながらその子を見ると頭の中に子供の声で『どんな子だろう』って響いてきた。
「えっ?」と思った次の瞬間、また頭の中で『えっ!』と響いた。
「エコー?」そう思ったが今度は何も返ってこない。
驚きはしたが取り乱す程でもなかったのでもう少し詳しく見てることにした。

「たまたま返ってこなかったのか?」思う。
『たまたま返ってこなかったのか!』しっかり響いた。
また「エコー?」思う。・・・・・・・・・返ってこない。
「返せない[音]が在るんだな」と思った。『返せない[音]が在るんだな』少し悲しそうな声が響いた。

どこかの国のお伽話(?)に登場するエコーの事を思い出した。
「俺のイメージではもっと小さいんだけどな」『俺のイメージではもっと小さいんだけどな!』「少し怒った?」『少し怒った!』
ちょっと楽しくなってきた。けど電車がもう見えている。

俺は少し淋しい気がしたが子供に別れを告げる、言葉で。後ろに中年のおばちゃんが数人並んでいたがそんなの無視だ。
「もう行かないといけないんだ。今度こそ幸せになれるといいね。それじゃgood-bye」

電車が来た。
子供がどんな顔をしているかはわからない。
電車に乗った。
少し恥ずかしそうな声で『ありがとう』と言われた気がする。
電車がホームを出る。
子供は改札口の方へと消えていった。

死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?182

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