丸ごと埋まっていた家

嬬恋で聞いた。
浅間山山麓では天明の浅間山大焼けで凄い被害が出たがその記憶も薄れ始めた頃。
村の人々が井戸を掘ったところ水がなかなか出ず、さらに掘り起こしたところポッカリ空間にぶち当たった。

「これをおかしい」と松明で良くみれば家が丸ごと埋まって屋根だけ出てる様だった。
屋根を壊して中に入れば生きてる爺婆二人がいた。
話しを聞いてみると

「浅間焼けの時六人一緒に山崩れに遭い埋もれてしまった。4人の者は横穴を掘ったが出られず死んでしまった。わたしら2人は、蔵にあった米、酒を飲み食いしこのまま一生を全うしようと諦めて月日を過ごした。今日、こうして再会できたのは夢のようで。」

話しからから数えてみると三十数年が経過していた。
その頃の人を呼んで、逢わせてやると、何屋の誰だと言うことになった。
早速、代官所に連絡し引き上げようとしたが、長年地下で暮らしていたため急に地上へ上げると死んでしまうかも知れないといい、少しづつ引き上げ明るさに慣れさせ太陽の光にも慣れるようにと穴を大きくし食物を与えたという。

面白いことにこれとよく似た話が信州側にもある様で、三十数年は流石に無いが半月くらいは埋もれて救出された事はあったんじゃないかと思う。

山にまつわる怖い話48

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