UFOとオッサン

ホームステイでアメリカの中西部に行ったときのこと。

ホストファミリーのオッサンに気に入られて近くの川に釣りにでかけた。
夕方ごろにすげーどしゃぶりになって、ホオオーンホオオーンホオオーンって怖い音がしだした。

「これはなに?」
「竜巻警報さ、大丈夫滅多にこない」
「竜巻ですか。日本ではあまりないので怖いです」
「じゃあいい経験だ。いいホームステイになったな!ハッハッハッ」

嵐の前の静けさっていうのか、意外と風はなくてジンワリとすごい湿気が印象的だった。でも正直、帰りたかった。

稲光がビカッ!ビカカッ!ビカッ!って光った時、思わず見上げたら空全体に電子回路みたいな模様が見えた。
スーファミのソフトの外側をはがしたような、今でいうならパソコンのメモリとかビデオカードみたいな平面的に線と四角が繋がっていのが、稲光を透かして見えるような感じだった。

うわなんだこれ!竜巻の時ってこんな不思議なことがあるのか!と思ったらオッサンも
「What the hell?」
って混乱しだした。

その後無言で待ってるとまた稲光とともに同じ模様が空で点滅して
「Shit this may be an alien attack」
と宇宙大戦争を危惧するオッサンに連れられて逃げ帰った。

帰ってオバサンに必死に説明するも信じてもらえなかった。
家に帰った時点で
「ほんとなんだよ。宇宙人の巨大戦艦がもうそこまできているんだ!」
というまでに話を膨らませていたオッサンを見て、さすがプレゼンテーション一つで巨額のマネーを動かしてきた不動産開発マンだなと大いに感心した。

「本屋なんて大学時代以来だよ」といって大量のUFO関連書籍を買ってきたオッサンは、今もホームページを毎週更新してUFO研究してる。
HPによるとその日は竜巻警報なんて出てなかったし、今思うと稲光の後に雷鳴がなかったような気がする。UFOなのかなんなのか、不思議体験。

不可解な体験、謎な話~enigma~ 57

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