夏休みに俺が親父と山登りに行ったときの体験。
車で何時間もかけてようやく山の麓まで到着。その時にはもう夕暮がかっていた。
「道かなり渋滞してたからね。もうすっかりこんな時間だからぁ 少し登ったらおりよっか。」
そう言って準備運動を始めた親父。さっきも車の中で脚を吊ったもんだから、慎重に取り組んでいる様子。
歳はとりたくないもんだね、、、 まだ若い俺はそう思いながら少し大きな岩をエイヤッと乗り越えた。
そのときに膝が嫌な音を立ててその場にうずくまる俺。
親父はよもぎかアケビを見つけて採ってくると言って山を登って行った。
俺は麓にある休憩所?のベンチに座って待機。準備運動の大切さを思い知った。
痛い足を引きずりながらそこらを歩き回ったがつまらん。
あたりも暗くなりだした頃、俺は携帯アプリで遊んでいた。
すると賑やかな声が聞こえてきて顔をあげてみると5~6人の女子大生らしき集団がやって来た。
「そんな薄着で山登り?」という疑問をよそに、スカートから突き出している生足を俺はじっと眺めていた。
山を舐めているとしか思えない服装の割に、荷物はやたら大きい。
女子大生たちが俺を取り囲むような感じでベンチに座ると、俺はキョドッて携帯をじっと見つめる。
話しかけてきたからビックリ。
「ねーねー、彼!高校生?今夏休みなんだー」
「夏休みじゃね?」
「あ、はい。」
「進路は・・・?」
「あー、進学です」
こんな感じで同じような応答が繰り返される。
流石にこっちも何かしゃべらんといけないかな、と思って俺は口を開いた。
「みなさん大学生でしょうか」
高校生、働いてる人、身分を語らない者、大学生などなど。特に決まった学校同士での集まりではなさそうだった。
人見知りで話すのが苦手な俺でも女の匂いに舞い上がってきて、ベラベラと話し始めた。
中でも俺が警察に逮捕された時の話に興味津津。俺も話していて楽しくなってきた。
そのうち1人がそろそろ山に登ろうと言い出す。
ギャグのつもりで言ったんだろうな、と思ったら誰も突っ込まないし本当に登る気みたいだった。
もうこんなに真っ暗なのに・・・。
俺の手を引いて行こうとするもんだから、足を怪我しているので無理なことを説明する。
それでも「10分で戻ってこれるから」「じゃあ入口のところでバイバイすればいいよ」と言って許してくれない。
仕方ないから入口まで着いていくことに。
女に手を握られるなんて10年ぶりなので、その柔らかい感触を手に焼きつけるのに必死。
その女たち、俺の親父が入って行った所から行くのかと思いきや脇のほうの獣道に入ろうとする。ちょっと待てよ、そっちはマズイだろ。
どうやらこの先に『入口』があるらしい。本当だろうか。
獣道ですらかも認識できなくなった頃、流石にちょっとおかしいぞと俺は思い始めた。
周りは完全に真っ暗だし、女の子たちの顔すらもよく認識できない。
「もう本当に無理です。帰ります。親父が探していますから・・・。」
頭をペコペコさせながら嘆願すると、別に女の子たちは怒った様子もなく
「うん。今まで着いてきてくれてありがとね。ご褒美あげたいから、そこの休憩所までね。」
さっき俺が休んでいた所とはちょっと違い、神社のなりそこないのような山小屋に到着。
羽虫が飛び交っていて、顔に当たる。耳元でおかしな音が聞こえる。
もう意味がわからないし、帰りたかった。
やっと女の子たちはお礼をする気になったらしく、ズボンを脱ぐように命じられた。
「え お礼ってそういうことなのか」と悟ったがもうどうでもいい。気味悪いし帰りたい。
ズボンを下ろすも、全然興奮しない。俺はなすがままに外の水道場まで連れて行かれる。
女の子たちが数人がかりで俺の脛にクリームのようなものを塗ったくった。
股間が熱くなってくる。そのとき、聞き取れなかったが何かの準備をしようと言い出した女がいる。
俺と1人の女の子を残して小屋の中に入って行った。
いったい何を始める気だろう。
俺は気になったので女の子に聞いてみることに。
「準備だよ」
「何の準備なんです?」
「これ、○○○(名前忘れた)だから」
女の子は、しれっとした態度で教えてくれた。
なんで脛にクリームを塗られているのかは分からなかったが、とりあえず何となくの事情は知れた。
どうやらオカルトサークルのようなもので、何かを始める気らしい。
なんとか見逃していただけないだろうか、半ば命乞いをする形で女の子に頼んだ。
あっさり「好きにすれば」とのことだ。
なぜ俺の脚にクリームを塗ったのか、その謎は解けぬまま。俺は脚をきれいにして帰り道を目指して走った。
帰り道は枝を掻き分けながら進んだ。来る時は枝なんて掻き分けなかったから道を間違えたのは確定。
俺はパニックに陥っているし半泣き。
しかも転んだときにメガネを落っことした。
山で野良仕事?してるおっさんに出会ったときは、思わず心の中で山の神に祈りを捧げた。
「すみませーん。どっちに行けば○○(店の名前)のところまで行けますかね?」
話しかけても、ずーっと立ち尽くしている。
気味悪いけど助かりたい一心で近寄ってみる。
木に服やら、リュックサックなどがたくさん引っかかってた。
目が悪くてあまり見えないが、たくさんの吊りあげられた衣類が確認できた。
俺はとりあえず人でないことが分かり、ポカーンとしていると、背後から地の底から響くような声でボソボソと呟いた者がいる。
男の声であることは間違いないんだが、人の声にしてはあまりに低すぎる。
そしたら木の上から首吊りロープが凄い勢いで目の前に落ちてきた。
俺は数秒ジッとしていると、背筋に寒気が走って一目散に駆け出した。
ド近眼で前がほとんど見えないから、何度も木にぶつかりながら走った。
無我夢中で走り続けると、道路っぽいところに出た。釣り堀があったからそこに避難してやっとこさ安心。
親父に電話して迎えに来てもらった。膝は紫色に腫れあがっていた。
長文すみませんでした。
最近知ったのですが、この山は色々とある山で有名だったそうな。
山にまつわる怖い話52