これは自分まだ小さかった頃の体験談でほとんどおぼえてなくて親から聞いた話なんだけど・・・
正月、ばあちゃん家で親戚一同集まって飲み会してるときだった。
ばあちゃん家はかなり大きく、カラオケボックスが置いてある部屋があってそこでみんなカラオケしていた。
俺は母の膝に乗っていたが聴いてるのに飽きたのか立ち上がって、
「探検してくる!」
と言って部屋から出て行った。
30分くらいたって部屋に帰ってくるとなぜか満面の笑みを浮かべているので、母が尋ねると、そのことについては何も言わないで、
「お母さん来て来て!」
と母の手を引っ張っていった。
そして2階へ上る階段の途中を指差して、
「探検してるときに友達になったの!」
とうれしそうに母に話した。
指差している先にはもちろん何もない。
子供にはよくあることだ、気を引きたいんだろう。
そう母は思い、冗談で
「へぇ~、よかったね。お名前はなんていうのかな?」
と尋ねると、笑いながら
「あの子、人形わらしっていうんだって!一緒に遊んでたの!」
と言った。
母はそれを聞いた途端身の毛がよだったらしい。
当時まだ4歳ほどだった俺は座敷わらしというものを知らなく、「~わらし」などという言葉を知っているはずがなかったからだ。
その後、俺と母部屋に戻りまたカラオケを聴いていた。
しばらくして俺がまた一人でどこかに行ってしまった。
母は少し不安に思ったが探さなかった。
それから20分ほどたった頃。
ダダダダダッ、とすごい勢いで部屋へ駆けこんできて、今にも倒れてしまいそうな顔で
「人形わらしが怒ってるの!人形わらしが怒ってるの!」
と叫んで大泣きしてしまった。
親戚一同も何事が起こったのかと驚いて、みんなでその階段へ行くことになった。
俺は左手で階段が見えないように目を覆って指差している。
みんな真っ青になってどんな話をしたのか、どんな姿だったのかなどを尋ねた。
話を聞くと、裸で、坊主で、背はちょうどそのときの俺ぐらいで、顔は人間では考えられないほど横に長くて、顔の中身もすべて横長らしい。(そんなのと初めて会って友達になるんだから子供ってすごいw)
それが口まで裂けて怒ったら子供じゃなくても泣いてしまう。
結局いくらあやしても怖がって帰ろうと言うので、渋々帰ることになった。
その後その家では一度も人形わらしを見ることはなかった。
今では、あんなに大きかった家も、借金が重なり土地を売ってしまったので取り壊されてしまった。
思えば、あの家はやたらと人形が多く粗末に扱っていたのでそれが関係してるのかなと思ってる。
ほんのりと怖い話41