去年の秋、姉貴が結婚した。
そんときの、結婚式での話。
結婚式なんだけど、親族だけで写真撮るじゃん。
新郎新婦を真ん中にして。
俺ら親兄弟は1列目に一緒に座って、にこやかに写真撮影。
写真撮り終わったあとに、姉貴が
「後ろに立ってた叔父さんがベールひっぱるんだよ。うしろヘンになってない?」とお袋に言っている。
お袋も「えー?」とか言いながらベールを見たけど、特に崩れたりはしてない。
ただ、ベールの裾になぜか青い朝顔がひとつくっついていた。
頃は11月。
式場には花が沢山あふれていたけど、もちろん朝顔なんてない。
うしろに立っていた叔父に、後で母が聞いたみたいだけどベールは引っ張ってないし、朝顔にも覚えがないと。
ここからは後日談で、お袋が涙ながらに語ったんだけど。
俺ら、今は俺と姉貴のふたり姉弟だけど、俺にはもう1人姉がいたのよ。
姉貴と双子だった。
俺が5歳のときに、事故で亡くなった。
事故に遭ったのは小学生になってはじめての夏休みを迎えようとした、終業式の日。
学校からの帰り道で事故に。
最後に持ち帰っていた朝顔の鉢が遺品になり、あれから毎年、その種を絶やさずに親父とお袋が育てている。
死んだ姉貴が、精一杯のおめでとうを言いに来たんじゃないかと
家族全員で泣いたよ。
843 : ID:Z1lBatgu0
おお、なんだか温かいレスをありがとう。
これに関する後日談をひとつ投下していいかな。
朝顔は、朝咲いて夕方にはもうしぼむ。
咲くのは1回切り。同じ花が咲くことはない。
姉貴のベールについていたのはもちろん花のみで、数時間でしおれてしまってもおかしくないんだけどさ。
姉貴たち夫婦は式が終わったその足で新婚旅行へ。
一週間後に帰国したんだけど、その帰国する日まで花が咲いてたんだよ。
お袋が水に挿してはいたんだが、普通は絶対ありえない。
無事帰国したのを確認したように、次の朝しぼんでた。
そういうのもあって、俺ら家族はあの朝顔は天国からねーちゃんが持ってきたと信じている。
ほんのりと怖い話42