毛むくじゃら

小学生の時の話。

あまり大きくは無いんだけど、私有地として山を一つ持ってる。
半分は私と弟の遊び場になるように祖父お手製の遊具があったり、お花見ができるように桜を並べて植えてあったり、藤なんかもあったりした。

もう半分は放置。雑草も伸び放題で、昼間でも薄暗くて怖かった。
で、整備されてない方に入るのは禁止されてた。
理由を聞いたら、昔その山の一番奥にお城があったんで、お堀があるから危ないとのこと。

行くなと言われると興味がわいてきて、弟と二人で山の奥まで探検しにいこうってことになった。
いざ実行に移して山に登っていったら、祖父の作ったベンチに祖母が座ってニコニコ笑ってた。
悪戯がばれたと思ったんで弟ともども素直に謝ったんだけど、「じゃあ一緒に行こうか。」って。
許してくれたのが嬉しくて、元気に返事したのを覚えてる。

あっちがお城、あっちがお堀って教えてもらいながら奥の方まで行って、
実際にお堀らしき深い溝が続いているのを見つけて、弟とはしゃぎながら中に入ってみたりしてた。

しばらくしたら雑草で足を切ったらしく弟が泣き出したんで、慌てて駆け寄っていたいのいたいのとんでけーとかやってたんだけど、ふと気付いたら祖母がいない。
遊んでいるうちにはぐれたんだと思って急に心細くなったんだけど、もと来た道がわからない。
お堀を辿っていけば整備されている側に着けたはずなんだけど、どうしても着かない。

で、泣きそうになってたら、後ろから肩をたたかれた。
祖母かと思って振り向いたら、なんか毛むくじゃらだった。
青みがかった黒っぽい毛で、大きさは1mくらい。肩を叩かれたのに手も足も無いどころか、顔も無い。
まっくろくろすけから目を取って巨大化させたような毛むくじゃら。

不思議と怖くもないしびっくりもしなくて、その毛むくじゃらがちょっと動いた方向を指差して「あっち?」って聞いたら、なんとなく頷かれた気がした。
今思うと、どうしてそういう解釈になったのか自分でもわからない。
でも弟もうんうん頷いてたんで、毛むくじゃらに教えてもらった方に二人で歩いていった。

しばらく歩いたら、何故か隣の山の神社に続く道に出た。
これも今考えたら一回下って登らなきゃそこには着かないはずなのに、当時は知ってる道に出て安心しかしなかった。
で、急いで家に帰ったら祖母は家にいた。というか、その日は一日祖父の手伝いで裏庭の整備をしてたらしい。
勿論山には行ってないし、山の奥にも行ってないと言ってこっぴどく叱られた。

祖母に見えたものも毛むくじゃらも何だったのかわからないけど、後から聴いたら、弟には毛むくじゃらが小さい女の子に見えてたらしい。
怖くは無いけど凄く不思議な体験だった。
長くなってごめんなさい。以上です。

595 : ID:+vET91Oa0

>>293 で、祖母らしきものと毛むくじゃらに遭遇した者です。
書き込みの後実家に戻る機会があり弟と会って話したら弟も覚えていて、私の記憶とちょっと違ったのでまた書き込みにきました。

山の奥に探検に行こうと言って登っていって祖母に会い、一緒に山の奥に行った所までは一緒だったんだけど、弟が泣き出したのは草で足を切ったからではなかったらしい。
弟曰く、お堀で遊んでいる時に祖母を見上げたら、お堀の上に立ってこっちを見下ろしてた祖母の足が、蜃気楼の風景みたいにぐんにゃりしていたとのこと。

びっくりして祖母の所まで戻り、「ばあちゃん足が、足が」って言ってたら、これも本人の表現なんで曖昧なんだけど、優しく突き落とされたらしい。
強く押されたわけじゃないのに、気付いたら体がお堀の方にあって、スローモーションのようにゆっくり落ちたそうで、お堀の中から見上げた祖母の顔までぐんにゃり歪んで見えて、それが怖くて泣いたとのこと。

そこで私が弟の泣き声に気付いてやってきて、見当違いに草で足を切ったからだと思ってなぐさめたらしい。
その後祖母がいなくなっていたのも同じで、確かに二人でお堀周辺を帰りたくて歩いていた。

で、私には毛むくじゃらに見えていたものなんだけど、やはり弟には小さい女の子に見えていたらしい。
しかも弟はその女の子と普通に会話をしたらしいけど、隣にいた私は弟とその女の子の会話を聞いていない。

弟の記憶によると、私が振り向いたんで自分も振り向いたら、見たことはないけど普通の服装をした女の子がいたらしい。
当時の弟(小学校4年生くらい)よりもまだ年下で、弟は自分達と同じく迷子だと思ったそうだ。

それで「こっちにくると迷子になるよ」とか「おねえちゃん(私)と一緒なら大丈夫だよ」とか声をかけた。
女の子は、「まいごじゃないよ。だいじょうぶだよ。」って答えて、「あっちにしんさんのおにわがあって、きれいだよ」と弟に言ったそうだ。

弟としては、私が「あっち?」と聞いたのはその、しんさんの庭の方向のことだと思ったらしい。
で、庭に行くつもりで歩いていったら知っている道に出て、そこでようやく、あれ?しんさんって誰?庭って何?山だよ?となって、そこで急に怖くなり家まで全力ダッシュしたとのこと。

まさか同じ場所にいてここまで違う体験をしてると思わなかったけど、私には毛むくじゃらに見えていたというのを話したら、自分だけよくわからないものと喋ってしまったという事実に弟はびびりまくってた。

また長くなってしまってごめんなさい。以上です。

山にまつわる怖い話57

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