友人の話。
山奥のダムへ、学生仲間数人でバス釣りに行った時のこと。
車三台で分乗して行ったのだという。
夕暮れまで各自釣りを楽しみ、車まで戻ってくると、すべての車両の前輪がパンクしていた。
何か黒くて尖った物がゴムに深く喰い込んでいる。
誰の悪戯だ!? そう怒りながらタイヤをスペアに替えて帰ったという。
後日その時の仲間が集まった折、一人が奇妙な表情をして告げた。
どうやら、タイヤに喰い込んでいた物の正体を調べていたらしい。
あの黒い突起な、鮫の歯の化石だったよ。
それを聞いた皆が、調べてきた彼と同じような奇妙な顔になったという。
しかし、だからといって何かが変わる訳でもなく、彼らは以降もそのダムに出かけていたのだそうだ。
山にまつわる怖い話24