マネキン

知り合いの話。

高校時代に、部の仲間と共にキャンプをした時のこと。
夕食が終わって後片付けをしていると、何かが天より落ちてきた。

 どさっ!

重い音を立ててテント横に落ちたそれは、白い大きな動物に見える。
皆は慌ててキャンプ場の外れまで逃げ、恐る恐る遠巻きにした。
ぱっと見、人体のように思えた。
色白の坊主頭で、関節がありえない方向に曲がっている。
そこまで見て取ると、皆はこれまた慌てて助けに駆けよった。

落ち着いてみて気がついた。人ではない。
マネキンだった。
誰がやったものか、全身がずたずたに傷付いている。
周囲の森を見回したが、投げた主はおろか何の気配も感じられない。

一応後退で見張りを立てたが、それきり何の異変も起こらなかった。
街から相当離れた場所だったのに、誰がマネキンなど投げ込んできたのか、今でも不思議に思うのだそうだ。

山にまつわる怖い話24

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