伝聞っていうかもはや言い伝えってレベルかもしれないが
この話を聞いたのは先月ほどだ。
友人と夏休みを利用して山(と言っても低くお目当てはBBQとかだったが)に行こうと計画を立てていて、まずはメンバー集めということで何人かに声をかけていた。
実際大学生で暇なやつが多く5-6人はすぐに集まった。
もう一人くらい呼ぼうかということで同じ学科で仲のいいAを誘うことにした。
俺「おーいAー お前夏休み暇だろ?」
A「バイトくらいしか予定は入ってないな なんかあるのか?」
俺「寮の暇な連中集めて山に旅行というかBBQしにいこうt」
A「あーすまん山ならおれはパスだわ」
Aはキッパリとした口調で断った のらりくらりとしているAにしてはとても珍しいことだった。
俺「珍しいなー お前がそんなにキッパリ断るとわ」
A「行きたいんだけどさ 山にいくとなると爺さんに本気で怒られるからさ」
Aの爺さんにはあったことがあり気のいい人で怒る姿なんて想像もできない人だった。
A「俺の爺さん元軍人なのしってるよな?」
俺「 確か陸軍だっけ?勲章見せてもらったなそういえば…. もしかして山で戦時中に酷い目にあったからいくな!!とか?」
A「いやーそれが逆なんだよ」
俺「逆?」
Aがいうには爺さんは徴兵ではなくもともと士官学校?卒の結構なエリートで所属が山岳部隊。
その人がいればその部隊は安全とか 山のooなんて異名がつくようなかなりすごい人だったらしい。
俺「ならなんでいくなー!なんて怒るんだ?逆についてきそうなほど元気じゃん」
A「あのな いまからいう話は爺さんが(今後の子孫にも絶対教えて家訓にしろ!)っていったことで本当かどうかわからんしオカルトチックだぞ?」
俺「オカルト!オカルト!」
A「そういえば好きだったね…」
爺さんは第2次世界大戦中自分で前線へ志願したそうだ、それも最前線でと。
しかしその頃は半分教官のような立場であり役に立つ人材だった爺さん。
前線とは名ばかりの補給もしっかりしたかなり安全な基地だったそうだ。
爺さんはしがな一日将棋でもしてるか基地の周りを散策してたそうだ。
ある日妙な噂が基地の中で流行ったそうだ。
「山の中で人間と猫?を合わせたような怪物がいる」と。
俺は爆笑した。
Aはほらぁ…っていう顔をしていた。
爺さんも同じ反応で大爆笑し、暇を持て余していたこともあり「どれ俺が探してきて鍋にでもしちまうか」などと言い、夜目撃があった山の中腹に哨戒がてらさがしに行ったそうだ。
行ったのは夜ということもあり爺さん含め山のベテランばかり、山に入りやっぱりいないじゃないかガハハなんて軽口を叩き合ってたらしい。
そんなこんなで折り返しのところのすぎそろそろ帰るかーなんて言ってるうちに哨戒の列の一番後ろのやつが
「おいー…なんか変な音がするんだけど」
なんて言い始めたらしい。
そいつはその中で一番若かったらしくビビりめ!なんてバカにされて笑われてたのだが。
ザッ….ザッザッ ザッ…..ザッザッ
なんてまるで軍靴の行軍みたいな音がしたらしい。
この話をしてるAが
「これから話すことは俺も爺さんに聞いて笑って怒られたんだ笑うなよ…」
なんて言ってきた。
その音は真後ろというよりは斜め後ろからこっちに近づいてるようであった。
幽霊とかは全く信じない爺さんらしかったがえもいわれない恐怖に襲われたらしい。
ザッ….ザッザッ ザッ…..ザッザッ
爺さんは手に持っていた小銃を向け、どこの部隊だ!と叫んだそうだ。
そして痺れを切らし音のする茂みを超えると….
2足歩行している大きな猫?狸?明らかに大きすぎる哺乳類の団体だったそうだ。
2足歩行で。
隊列というか守備良く並んで。
俺はまた爆笑した。
爺さんはよくわからん恐怖に陥って仲間共々逃げ帰ったそうだ。
基地に帰ってから夜は山に入らない!という規則を作ったそうだ。
それからは特に何事もなく戦争も終わり日本に帰ったそうだ。
A「これでおしまい」
俺「は?」
A「だからこれが爺さんから聞いた山のはいるなって話」
俺「またまたご冗談w
A「ところがどっこい本当なんだよ山にはいくな!ってさ」
俺「・・・・・」
俺たちは進路を海に変えAとAの爺さんと共に良い休日を過ごしました。
Aが真面目な顔で2足歩行の….って言い始めた時は目がテンになりました。
いまだに爺さんは猫とか犬とかタヌキとかが苦手らしい。
海では大学生に混じりアグレッシブにスイカ割ってました。
山にまつわる怖い話63