白っぽい女みたいな手

うちの従兄弟の話。

従兄弟は下が箪笥になってるタイプの二段ベッドに寝転んでいた。
ん~~~!と気持ちよく伸びをしたところで、ベッドからはみ出した手を、下から何者かにガッと掴まれた。
(ベッドの頭側は壁との間に30センチほどあいており、物は何も置いていなかったらしい)

見ると白っぽい女みたいな手だった。
腕は長く伸びていて、本体は見えなかったらしい。
その女の手がぐいぐいベッドの下に引きずり込もうとするので、引っ張られまいとベッドに足を突っ張って必死に抵抗する従兄弟だが手の引っ張る力は強く、頭がベッドの柵にぶつかった状態のままで、必死の攻防戦が続く自分の頭上の白い手を見ていた従兄弟は、抵抗しながら「やめろ!」とか「痛えよ!」とか叫んでいたそうなのだが、やがてこんなことを口走った。

「オマエ生命線無え!!」
その途端、なぜか硬直した白い手。
引っ張りも止まり固まり付いたまま、動かない。
従兄弟が手を抜こうとすると、白い手は急にあたふたしだして従兄弟の手を放すと、すっと下に引っ込んだ。

ベッドの下を確認するも、手の痕跡なんてどこにもなかった。
しばらくしてから従兄弟の家に遊びに行くと、ベッドと壁の隙間は物でしっかり塞がれていた。
 

ほんのりと怖い話73

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