アジアンテイストな雑貨屋

大学に入って一人暮らしをしていたある夏の日の夜のこと。

友達の家にお邪魔した時にお香を焚いていて、なんかカッコいいなーと思って真似して、アジアンテイストな雑貨屋でお香を買って焚いてみた。
だんだん、部屋にお香の匂いが充満していくにつれて、なんかイメージと違う気がして、お香を焚くのをやめた。
そもそもお香が好きなわけではないことに気がついた。

窓を開けて部屋の空気が入れ替わるのを待つ間、ベランダに座りながら道ゆく車をボーッと見たりしていた。
ふと、部屋の明かりに照らされてできた自分の影を見ると、自分の影が背後からの照明では動かない、動いちゃいけない方向に動いていた。

車のライトでも当たったかなと一瞬思ったけど、車のライトが自分に当たるような道をその時車は走ってはいなかった。
えっ?!と思った瞬間、人のような形をした影の様なモノが自分の影から出てきて、すぅーっとベランダの隅の暗闇に移動して消えていった。

盆が近かったから、お香を焚いたことによって何か勘違いさせてしまったのかなと思った。
それ以来、夜にお香を焚くのはやめた。

不可解な体験、謎な話~enigma~ 114

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