両親から聞いた話。
私がまだ幼い頃、家族で山菜採りに出かけたそうだ。
そこで私だけはぐれて迷子になった。
半日近く捜しても見つからず、警察に届けようかと思っていた矢先。
目の前の繁みが分かれて私が出てきたのだという。
どこ行ってたんだと父が怒って聞くと、私は不可解な返事をしたらしい。
すごく背の高い、一つ目のおじちゃんに連れて帰ってもらった。
お前はそう言ってたぞ、と父は奇妙な顔をして教えてくれた。
私自身は、まったくそのことを憶えていない。
この話を聞いた後、自分が見つかったという場所にお酒を置いてきた。
お礼になっていればいいなと思う。
山にまつわる怖い話3