砂で出来た人型

知り合いの話。

山奥の渓流で鮎釣りをしていた時のこと。

川原の砂地を歩いていると、いきなり片足がめり込んだ。
まるで流砂にでも飲み込まれたみたいで、なかなか抜くことができない。
同行している友人に頼んで、引っ張ってもらうことにした。

力を入れて引っ張るうちに、ずるっという感じで足が抜けた。
砂場から、彼の足と一緒に引きずり出されたものがあった。
砂でできた人型の上半身が、両手で彼の足をしっかりとつかんでいた。
二人が仰天していると、すぐに人型は崩れてただの砂山になったそうだ。

以来、彼らは砂地では絶対に足を止めないことにしたのだという。

山にまつわる怖い話3

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