知り合いの話。
家族で山の高原に遊びに出かけたのだという。
ススキの野原で秋の風を楽しんでいる時、妙なものに気がついた。
原っぱの向こう側に、案山子が一つだけ立っていた。
案山子といっても、全身をくねらせているように動いている。
こんな人里離れた場所に電気はないだろうし、動力は一体何だろう?
そんなことを考えていたそうだ。
子供がいきなり、おーいと言って、その案山子に向かって手を振った。
案山子は、ひょいと手を上げて振り返してきた。
それを見た途端、彼は子供を抱えて車まで走り戻ったそうだ。
山にまつわる怖い話3