黄色い雲

私の体験した話。

春先に、人里離れた山中で道路工事のバイトをしていた。

まわりは杉の森林で、杉花粉がまるで黄色い雲のように見えていた。
ネコと呼ばれる手押し車で土砂を運んでいた時に、視線を感じた。

杉木の天辺で、白装束姿の老婆が背筋をピンと伸ばして立っていた。
無表情にこちらを見ている。

次の瞬間、大きなくしゃみが出て咳き込んでしまった。
再び目をやると老婆の姿はもう見えなかった。
花粉症でなかった私は、その後一年間だけ花粉症を患った。

山にまつわる怖い話3

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