黄色い雲 2019/3/23 2019/3/29 雷鳥一号 私の体験した話。 春先に、人里離れた山中で道路工事のバイトをしていた。 まわりは杉の森林で、杉花粉がまるで黄色い雲のように見えていた。 ネコと呼ばれる手押し車で土砂を運んでいた時に、視線を感じた。 杉木の天辺で、白装束姿の老婆が背筋をピンと伸ばして立っていた。 無表情にこちらを見ている。 次の瞬間、大きなくしゃみが出て咳き込んでしまった。 再び目をやると老婆の姿はもう見えなかった。 花粉症でなかった私は、その後一年間だけ花粉症を患った。 山にまつわる怖い話3