寝ているはずの弟

山椒の葉を採りに森に入った。

定位置で葉を採り終え家へ戻ろうとした時、少し先、やや森の奥ほうを誰かが歩いていた。
木々の間を見え隠れしているのは熱を出して寝ている筈の弟のようだ。
胸騒ぎがして足早に追いかけた。 
至近まで近づき肩に手をかけようとした瞬間。

弟が厚みのまったくない幅2尺足らずの帯になって、シュルシュルと言う音をたてながら頭上の梢に向かって伸び上がっていった。
呆然と見上げていると帯になった弟は段々と先細って消えた。
慌てて家に戻ると弟はガツガツと飯を食っていた。

すっかり熱も冷めあんばい良くなっている。

あの胸騒ぎはいったいなんだったのか…orz

山にまつわる怖い話18

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