小さな箱

私の体験した話。

山裾の団地で民家の改装工事を請け負った。
屋根の葺き替えをおこなったのだが、ついでに猫を追い払ってくれと頼まれた。
屋根裏に入り込んで生活しているようで、天井を走り回る音がうるさいのだという。
下請け業者に頼んで、屋根裏の点検と掃除をしてもらうことにした。

工事終了間際になって、指示を出していた業者から来てほしいと連絡が入った。
現場に着いた私は、小さな箱を見せられた。
箱の中には、親子のものらしい小動物の骨が入っていた。
乾燥して脆くなったその骨は、屋根裏の隅に転がっていたらしい。

下請け業者によれば、時たまこういうことがあるのだそうだ。
施主には「猫は追い払いました」と伝え、骨は近くのお寺で供養してもらった。
それ以降、屋根裏で走る足音はしなくなったそうだ。

山にまつわる怖い話4

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