吠える声 2019/6/11 雷鳥一号 先輩の話。 夕暮れ、深い森の中を歩いていた時のこと。 森の下斜面から、複数の激しい犬の咆哮が聞こえてきた。 野犬か!? 身構えたが、逃げる間もなく声はどんどん近づいてきた。 硬直した彼のすぐ前で、草むらが大きく揺れて分かれた。 何も見えなかった。 彼の目の前を、犬たちの声だけが横切っていった。 吠える声は林道を横断すると、再び森に入り登っていったという。 あたりの地面を調べると、かすかにだが動物の足跡が残されていたそうだ。 山にまつわる怖い話5