校庭の銅像

知り合いの話。

彼は小さい頃、山奥の小さな小学校に通っていたのだが、他の学校と合併するため、中学に上がる直前に廃校にされたのだそうだ。
彼の学年は五人しかいなかったが、皆で校庭の銅像に記念を残すことにした。
二宮尊徳の足首に、鉄釘で各々自分の名前を刻んだのだという。

先日、十何年ぶりに当時の同級生が村に集まった。
学校の跡地は森林公園になっており、銅像も少女の像に変わっていた。
昔話に花を咲かせていると、いきなり仲間の一人が像の足元で声を上げた。
彼の指差す先を見ると、見知らぬ像の足首にすり減った文字が刻まれていた。
彼ら全員の名前だった。

誰が名前を移し変えたのだろうか。
不気味だったが、同時にとても懐かしかったのだそうだ。

山にまつわる怖い話5

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