光る魚

友人の話。

学生時代、キャンプした場所の近くに、小さな滝と綺麗な淵があった。
淵の水でビールを冷やしておき、夜中に引き上げに行ったのだそうだ。

真っ暗な水の中で、光る物が群れをなして泳いでいた。
珍しいな、光る魚なんて本当にいるんだ。
彼がそう思って顔を近づけると、光っているのは魚ではなかった。

光っていたのは、ピンポン球くらいの大きさの、たくさんの眼球だった。

彼は黙って酒を引き上げると皆の所へ戻った。
大いに飲んで、そのことを忘れようと考えたのだという。
とんでもないピッチで酒を飲み潰れてしまったその夜の彼は、しばらく仲間うちで笑い話のネタになったそうだ。

山にまつわる怖い話7

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