先輩の話。
南米のある国に仕事で出かけた時のこと。
ハイウェイを繋ぐ道路の整備が仕事だったそうだ。
現地人の通訳に連れられて、現場の山道を走りながら次のような話を聞かされた。
その国には岩山に棲む化け物がいるのだという。
一寸見ただけでは、普通の岩と区別がつかないらしい。
しかし、近づくと血臭がするのでそれと分かるのだと。
その化け物はゆっくりと時間をかけて高所に登り、獲物を待つ。
下を生き物が通りがかると、その上に転げ落ち、押しつぶして血を啜るのだという。
「だから、落石防止の工事をしてくれるのは、とても嬉しいです」
岩山をジープで揺られながら、通訳はそう笑っていたそうだ。
山にまつわる怖い話7