血走った目玉

友人の話。

学生時代、キャンプに参加した時のこと。
そのキャンプ場には小さな汲み取りのトイレがあった。
夕食後、腹具合が悪くなった彼女は用を足しに入ったという。

無事に一大事を終え一息ついていると、急に背筋に寒気が走った。
覗かれている!?
慌てて周りを見回すと、右手の壁に不気味な物を見つけてしまった。
血走った目玉が、壁の表面に浮かんで彼女を見つめている。
気がつくと、トイレ中の壁に目玉の群が出現していた。

急いでポケットティッシュを取り出し使用する。
そうこうしている間にも、左手の壁には鼻が浮かび上がってきた。
匂いを嗅ぐようにクンクン音を立て始める。

慌しくティッシュを収め、下着を上げにかかる。
すると、目の前の壁に新たに浮き出したものがある。
大きな真っ赤な唇だった。
分厚い舌が下品に突き出されて、上下の唇をつつっと舐め始めた。

もう限界だった。
ズボンを上げながら飛び出してきた彼女の姿に、皆言葉を失ったという。
開け放たれたドアの内側には、何も変わったところは見受けられなかったそうだ。

山にまつわる怖い話7

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする