先輩の話。
中学の山岳部に所属したばかりの頃だ。
水汲みを命じられ、教えられた水場に行くと、そこには石組みの古井戸があった。
今ではあまり見られない、手押しの人力ポンプがついていた。
先輩はそんな代物を見るのが初めてで、少しわくわくしながら手をかけたそうだ。
レバーを上げ下げして水を出してみると、コッヘルの中には真っ黒な水が溜まった。
錆びでも出たのかなと目を近づけ、間違いに気がついた。
澄んだ水の中に、大量の長髪が漂っていた。
慌てて他の人を呼びに行った。
再び水場に帰ってきた時には、どこにも黒髪は見当たらず、きれいな水が入った
コッヘルだけが残されていたそうだ。
山にまつわる怖い話7