10年位前の体験談を書く。
俺は遠方に暮らす婆ちゃんに懐いてて、よく電話かけてた。
その日も婆ちゃんの声が聞きたくて、電話番号を押した。
でもいつもとは違った。
受話器の向こうから聞こえたのは心電図の音ていうのかな?
「ピーン……ピーン……」みたいな等間隔の電子音が聞こえてきた。
最初、電話機が壊れたのかと思ったんだけど、向こうから声が聞こえてきた。
「もしもし?」てすごい低いおっさんの声で話しかけてくる。
驚いたんだけど、なんか話さなきゃと思った。
「あ、○○さん(婆ちゃんの苗字)じゃないですか?」
「……違います」
短いやりとりの最中にも、後ろから電子音が聞こえてた。
「すいません。間違えました」
俺は間違い電話をかけてしまったらしい。
婆ちゃんちと似た番号の病院か何かにかけてしまったんだ、と瞬時に理解した。
謝って、受話器を置いた。
でも、その後、気づいた。
当時、婆ちゃんちにはよく電話をかけるから、短縮ダイヤルに登録してあった。
ボタンひとつ押すだけだから、間違い電話なんてかかるはずがない。
不思議に思いながら、もう一回ボタンを押すと、普通に婆ちゃんちにつながった。
そのときは「変なこともあるもんだ」程度にしか思わず、婆ちゃんと話した。
次の正月には遊びに行くからとかそんな他愛もない話をした。
なんの変哲もなかった。
婆ちゃんが亡くなったのはそれから一週間後だった。
死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?252