高校行ってた頃に見たアレが何だったのか
近所にあるハイキングコース(山の中)を散歩するのがその頃の楽しみだった。
歩いていると左からガサガサと生き物が動く音がした。
見てみると、少し離れたところ木々の合間に、ほっそりとした白い棒のようなものが縦に一本、真ん中辺りに間接があるかのようにカクンカクンと動いていた。
初めのうちは何か不思議な物を見た感覚だったが暫くすると怖気が走った。
細長い足に思えたからだ。
見ない方がいいと思いながらもやはり見てしまった。
視点を少しづつ上に移動させると、しかしそこには予想に反した物があった。
丸い白い頭を思わせる物体。
体 それもかなり大きな体があると思っていたのに、棒を足と仮定するとかなりの大きさになる筈だった。
一本に見えたのは半分が木に隠れているためらしかった。
頭と思しき物は半分が気に隠れ後ろ向き。
どれくらいの時間それを見ていたのか分からない。
急いでそこを離れるべきと思ったが、どの出口までも殆ど変わらないくらいの位置にいた。
目を離した後で気付かれたらと思うと怖かった。
それでも思い切って歩き始めた。
同じところにまだいる気配。
距離が離れたとは言え、怖くてそっちを見ることはできなかった。
去年のことになるがたまたま思い出して友達に話すと「新耳袋」に「コンパス人間」なるものが紹介されていると言われた。
話を聞いた後で本を借りる気も読んでみる気も起きなかった。
特にその山で火事が起きたことはない。
ただひとつ、今思うと不思議なことが。
あの場所から近い出口がひとつあったのに、あの時は気付かなかった。
行かない方が良かったのか、行ったら何かあったのか。
気にならないと言えば嘘になるが、場所が場所だけに確かめたくはない。
山にまつわる怖い話26