知り合いの話。
地元の野山で作業している時に、木の枝に奇妙な物を見つけた。
彼の肩くらいの高さで、蛙が枝に刺さったまま干からびている。
百舌の早贄(はやにえ)という奴だ。
ふと、親戚のお婆さんが話していたことを思い出した。
「百舌の早贄が木の高い所にある年は、雪が深くなるんだよ」と。
悪戯心を出した彼は、早贄ごと枝を折り取って、木の天辺の方へ差し替えた。
それきり、そのことを忘れてしまう。
その年は暖冬になると言われていたが、蓋を開けてみると記録的な大雪になった。
自宅の雪下ろしをしながら、あの早贄を思い出したという。
「いや偶然だとは思うけどな。偶然の筈なんだけど」
どことなくすっきりしない顔で彼は呟いた。
山にまつわる怖い話24