知り合いの話。
彼の実家の裏山には、もう使われていない火葬場跡がある。
現在はかなり崩れており、僅かに泥壁の一部が残っているだけだ。
彼のお祖父さんの時代までは、実際に使用されていたそうだ。
お祖父さんが言うには、小屋にはなぜか塩壺が置かれていたらしい。
荼毘に付す時、夜中に火葬場を覗く輩がよく出たそうで、そやつに塩を撒いて追い払うためなのだという。
「寝ずの番していた時に、儂も何度か見たなぁ。気がつくと、キラキラしたでっかい眼だけが、入口から覗き込んでるんだ。強いて言えば猫の目に似てたかな。本体?見えたことないよ」
何が焼き場を覗いていたのかは、誰にもわからないままである。
山にまつわる怖い話24