友人の話。
持ち山を歩いていると、道の先に妙な格好をした人の姿が見えた。
迷彩服にごつい銃を持っている。
人ン家の山に勝手に入り込んで、サバイバルゲームでもしてやがるのか?
そう思い少し離れて見ていたが、何やら様子がおかしい。
連れはいないみたいで、しっかりと道の上で姿を晒して歩いている。
ゲームをしているといった感じではなかったという。
時たま足を止めて、目の前の木をしげしげと見やっている。
そしてその木に弾を何発か撃ち込んで先に進む。
そんなことを延々とくり返していたらしい。
後をつけていると、迷彩服が撃った木の辺りで、地面にBB弾が散っていた。
何の気なしに拾い上げて、眉を寄せる。
弾の表面に、御経のような変わった字が書き込まれていたのだ。
落ちていた弾を拾い集めてみると、そのすべてに字があったという。
一体あいつ、何やっている?
顔を上げてみると、いつの間にか迷彩服姿は消えていたという。
そこの道はかなりの先まで一直線、そして目を離していたのは僅かな時間だったというのに、一体どこへ行ったんだ?
彼はそのまま山道を歩いたが、二度とあの後ろ姿を目にすることはなかった。
妖しげな弾は、すべて拾い集めて棄てたのだそうだ。
山にまつわる怖い話26