小学生の頃、近所に杖をついたホームレス風情のおばあさんがいた。
いつも近所をうろついていたが、スーパーのベンチで弁当を買って食べているのを何度か見たので、金はあったらしい。
もしかしたらホームレスじゃなかったのかも。
そしてある日そのスーパーのトイレに行ったら、そのおばあさんがいた。
三つある洗面台を順番に移動しながら、髪を梳かしている。
洗面台と床にばらばらと落ちる抜け毛、酷い異臭。
幽霊のような佇まいにガクブルして、その日はそのまま逃げた。
そして後日母と買い物をしに車に乗っていると、またそのおばあさんを見かけた。
足をさすりながらバス停のベンチで休んでいるようだった。
そしてスーパーに着いて、中に入ると。
なんとそのおばあさんが肉売場をうろついていた。
バス停からスーパーまで、車で十分。
車の私達に歩きで追い付く訳がないし、もしあそこからタクシーやバスを使ったとしても私達の方が早く着くのは明らか。
瞬間移動したとしか思えない。
その日の夜、私と母は今度は歩きで習い事から帰っていた。
すると、また前方におばあさん発見。
度々の奇怪な行動に母と二人でガクブルしたが、しかし母はとんでもないことを言いだした。
「私いつもあのおばあさんがどこへ帰るのか気になってたの。ちょっとつけてみない?」って。
なんちゅー大人だと思ったが、面白かったので母と二人おばあさんの後を追った。
おばあさんは路地を曲がった所の電柱に近づいていって、抱きつきスリスリし始めた。
あまりのキモさに母を目を見合わせたが、次また目を向けるともうおばあさんはいなかった。
そこは一本道で曲がり角はない。
私と母の間では、あのおばあさんは電信柱の妖精ってことになってる。
それ以来見かけない。
気味悪かったけど、思い出すとちょっと楽しいwww
ほんのりと怖い話28