これだけだとあれなので、もう一つ山での話。
こっちは聞いた話なので、あんまり詳しくないです。
近所のおじさんから小さい頃聞いた話。
上でも書いたけど、実家はすごい田舎。
山もあるけど、海にも面していて、お盆には近所の人たちはみんなその海に「おしょうろさん」を流していた(地域によって呼び方が違うかもですが、あの舟みたいなやつです)。
その「おしょうろさん」をお盆の間家の庭とかにに置いておくのが、4本の細い竹を組み合わせたもの。
その竹をおじさんがまだ小学生の頃、おじさんの祖父とともに近所に取りに行っていた。
まだ明るいし、近所の山だったのでおじいさんとは少し離れて奥の方へ探検気分で進んでいったおじさん、ふと竹やぶの中に、変な違和感を感じたという。
まず竹やぶの周辺といったら、落ちた笹が枯れた黄土色と、竹の緑色、2種類くらいの色しか見掛けないのに、そこには白っぽいものが竹と竹の間にいて、もぞもぞ動いていたそうだ。
好奇心からどんどん近づいて行くと、後ろからおじいさんに「こら!どこ行きよんなら!」と怒られたらしい。
ビックリしたおじさんは、そのまま引き返してすでに竹を切り終えていたおじいさんとそのまま帰ったのですが、後でおじいさんから、「向こうは毒蛇がいるから危ない」と聞かされたそうで、その時は小さかったこともあり「そうだったのか!怖ぇー!」と納得したそうです。
それから何年か経って(高校くらいの歳)、またおじいさんとお盆用の竹を切りに行った時、その時のことを覚えていたおじさんが、「ここって毒蛇いるんよね?」と聞いたところ、「そんなもんおらん」と返ってきたらしく、あれ?と思ったおじさんは、おじいさんに昔のことを聞いてみたそうです。
「よく覚えとったなぁ」と話してくれたそうなのですが、あの時、竹の間にいたものは、動物の皮を着た、「よくない」もので、その顔を見ると目が潰れる、気がふれるという話があったそうです。
幸いその「何か」は耳が聞こえない、もしくは遠いみたいなので音をたてても気付かれにくく、こちらから近づいて顔を覗きこまない限りは大丈夫とのこと。
ただ、おじいさんの話では、その「何か」は目から入り込んでその体内に留まる為、目が潰れて気がふれる、という話だったそうです。
その後も何回か竹を取りに行くのを手伝いましたが、結局それを見たのは1度だけ。
「じいさんの頃はよく出てたみたいだけどなぁ」と言いながら、
「あの動き、確かに 袋の中で蛇がうねうねしとる様な、変な動きだったわ。ほんと見んで良かったなー」
と笑いながら話してくれましたが、それを聞いた私はしばらくその山に竹を取りに付いていくことはしませんでした。
少しヒサルキと似てますが、他の動物を食い荒らすとかの話は出てこなかったです。
山にまつわる怖い話49